養子縁組には2種類あります。
普通養子縁組と特別養子縁組です。普通養子縁組の場合は養親、実親双方の親子関係は存続しますが、特別養子縁組の場合は実親との親子関係は終了します。そのため、相続が発生した時に養子である子は普通養子縁組の場合においては実親、養親双方の相続権が発生しますが、特別養子縁組の場合は養親の相続権のみ有することになります。その他、縁組を組むためには年齢などの要件はあります。
さて、養親が亡くなった時に養子には相続権があります。その場合の法定相続分は実子と同等です。相続人の範囲を確定する際に戸籍を取り寄せたときに養子がいた場合は、相続人として考える必要があります。
一方で民法にはこのような記載があります。民法第900条第4項 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
そのため、実子であっても、法定相続分が養子の2分の1であるケースも考えられます。
遺産分割協議を行う上で、誰が相続人なのか、それぞれの法定相続分はどの程度なのか、ということはとても大事なことです。また、本来相続人である者がいない状況で遺産分割協議をしてしまうと無効となってしまいますので、注意が必要です。
(蛇足)
私が担当しているケースにも養子が相続人となるケースがありました。しかし、その養子は昭和10年代に戸籍から抜けています。もっというと養母も去家しています。昭和10年代というと旧民法下ですが、
旧民法730条2項
養親が養家を去りたるときは其者及び其実方の血族と養子との親族関係は之に因りて止む
という条文がありました。
また、その時に旧民法中には夫婦共同縁組の原則があり、養親の一方が死亡後に、生存している養親と離縁した場合には、死亡した養親との間でも離縁の効力があった。
そのため、戦前は戸籍に離縁と書かれていなくても実質離縁していた場合もあるのです。
このように相続の発生において誰が相続人となるかという点は慎重に調べる必要がありますし、場合によっては旧民法から読み解かなければいけない場合もあります。また、間違って遺産分割協議を行い、後で他にも相続人がいたことがわかればやり直しとなります。