事業再構築補助金について第5回申請受付がスタートしました。
1.第5回公募における主な見直し項目
①新事業売上高10%要件の緩和
・付加価値額の15%以上でも可
・売上高が10億円以上の事業者であって、事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、当該事業部門の売上高の10%以上でも要件を満たす。
②補助対象経費の見直し
・補助事業実施期間内に工場・店舗等の改修等を完了して貸工場・貸店舗等から退去することを条件に、貸工場・貸店舗等の賃借料についても補助対象経費として認める。なお、一時移転に係る費用(貸工場等の賃借料、貸工場等へ移転費等)は補助対象経費総額の1/2を上限とする。
③農事組合法人の対象法人への追加
・事業再構築への一定のニーズがあることを踏まえ、農事組合法人を対象法人に追加。
2、受付期間
申請受付開始 2月中旬予定
応募締切 令和4年3月24日(木)18:00
3、補助対象要件の定義
①2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること等。
上記要件を満たさない場合には以下の要件でも申請可能
(a´)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計付加価値額(※)が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少しており、(b´)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること。
(※)付加価値額 = 営業利益 + 減価償却費 + 人件費
②経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること。
4、事業目的について
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すこと
を目的としています。
5、新規開業者について
以下、公募要領から抜粋します。(公募要領P7)
「コロナ以前(2020年3月31日以前)から創業を計画等しており、2020年4月1日から2020年12月31日までに創業した場合は特例的に支援の対象となります。この場合、売上高減少要件は2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高を2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高と比較して算出してください」
つまり、創業時から12月までの売上高の一日あたりの平均を出す
2020年4月創業⇒12月までの売上 300万円
300万 ÷ 275日 ≒ 10,909円/日
3か月分⇒ 10,909円 × 90日 = 981,810円(基準売上)
2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月
例えば、11月~4月の中から、選び、11月、1月、2月として、合計売上高を出す。
11月⇒300,000円 1月⇒100,000円 2月⇒100,000円
合計500,000円(比較売上)
500,000÷981,810×100≒50.9%
のため、売上高減少10%以上の要件を満たします。
※コロナ以前から創業計画を有していたこと及び新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少していることを示す必要あり。(例 2020年3月31日より前に策定した創業計画の提出、自社が属する業種の売上が減少していることを公的統計等を用いて示す)
6、第5回公募で申請可能な類型
①通常枠
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援。
②大規模賃金引上枠
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援。(すべての公募回の合計で、150社限定)
③卒業枠
事業再構築を通じて、資本金又は従業員を増やし、3年~5年の事業計画期間内に中小企業者等から中堅・大企業等へ成長する中小企業者等が行う事業再構築を支援。(すべての公募回の合計で、400社限定)
④グローバルV字回復枠
事業再構築を通じて、コロナの影響で大きく減少した売上をV字回復させる中堅企業等を支援。(すべての公募回の合計で、100社限定)
⑤緊急事態宣言特別枠
令和3年の国による緊急事態宣言発令により深刻な影響を受け、早期に事業再構築が必要な飲食サービス業、宿泊業等を営む中小企業等に対する支援。
⑥最低賃金枠
最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等が取り組む事業再構築に対する支援。
7、採択発表について
5月下旬~6月上旬頃の予定
8、事前着手申請の手続きについて
今回も前回と同様、事前着手の承認申請があります。補助金は原則、交付決定前に着手したものは対象外ですが、事前着手申請の承認を受ければ令和3年2月15日に遡って経費として認められます。
(※)第6回公募以降は事前着手の対象期間を見直すとのこと
①受付期間 令和4年1月20日(木)~交付決定日まで
②提出方法 事前着手のための申請を事務局にjGrantsにより提出
9、添付書類および加点項目について
金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねている場合、「金融機関による確認書の提出は省略することが」できるとのことです。
また、審査における加点を希望する場合に必要な追加書類等の③に、「経済産業省が行うEBPM」の取り組みに対する協力という項目があります。こちらは様式は不要で項目をチェックするのみとなるようです。
10、まとめ
第5回公募について解説しました。新事業の売上要件など細かい点が見直されています。なお、第6回からは申請類型や経費対象が大きく変わります。
事業再構築補助金最新情報(令和4年1月21日現在)(本HPより)
公募要領にも書いてありますが、事前着手の対象期間も見直されるようです。(令和3年2月~3月頃に購入したものが経費とならない可能性がある、ということです。)
現時点の条件で申請される方は十分に準備をして余裕を持って提出されると良いと思います。弊事務所においても事業再構築補助金申請のお手伝いをさせていただいております。気軽にご相談ください。