こんにちは!行政書士の横山です。
事業承継・引継ぎ補助金の公募が発表されましたので、簡単に概要を解説いたします。(なお、今回は経営者交代型中心の解説となります。ご了承ください。)
本補助金は正式名称を「事業承継・引継ぎ補助金」と言い、目的は「中小企業者や事業者等が事業承継、事業再編及び事業統合を契機として新たな取り組みや広報活動を行う事業について、その経費の一部を補助することにより、事業承継、事業再編及び事業統合を促進し、我が国経済の活性化を図ること」としています。
また、類型として「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3つがあります。
このブログ記事では、特に「経営者交代型」を中心に解説いたします。
<目次>
1、「経営者交代型」以下の①~③のすべての要件を満たすこと
①事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者であること。
②産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること。
③地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者であること。
②が一つ難しい点かと思います。市の商工会議所などが主催している創業スクールなどを受講すると証明してもらえます。こちら、公募要領のP35を見ますと、補助事業終了までに事務局へ提出すればいいようですので、各々の地域で行われている起業スクールなどに参加すれば今からでも間に合います。
このような証明書が発行されます
2、補助対象者の要件
(1)補助対象者は、日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
(2)補助対象者は、地域経済に貢献している中小企業者等であること。地域の雇用の維持、創出や地域の強みである技術、特産品で地域を支える等、地域経済に貢献している中小企業者等であること。
(3)補助対象者又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会勢力との関係を有しないこと。また、反社会的勢力から出資等の資金提供を受けている場合も対象外とする。
(4)補助対象者は、法令順守上の問題を抱えている中小企業者等でないこと。
(5)補助対象者は、事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
(6)補助対象者は、事務局が必要とみとめるときは、事務局が補助金の交付申請及び事前着手ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて通知することに同意すること。
(7)補助対象者は、補助金の返還等の事由が発生した際、申請その他本補助金の交付にあたり負担した各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
(8)補助対象者は、経済産業省から補助金指定停止措置又は指名停止措置が講じられていないこと。
(9)補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国に報告された後、統計的な処理等をされて匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
(10)事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
3、事業承継の要件
補助対象事業となる事業承継は、2017年4月1日から補助事業期間終了日または2021年12月31日のいずれか早い日までに、中小企業者等間における事業を引き継がせる者との間で、M&A等を含む事業の引継ぎを行った又は行うこととし、事業承継形態に係る区分整理で定める形態を対象とする。
4、補助対象事業について
(1)中小企業者等である被承継者から事業を引き継いだ中小企業者等である承継者による経営革新等に係る取り組みであること。
(2)補助対象事業は、以下に例示する内容を伴うものであり、補助事業期間を通じた事業計画の実行支援について、認定経営革新等支援機関の記名・押印がある確認書により確認される事業であること。
①新商品の開発又は生産
②新役務の開発又は提供
③商品の新たな生産又は販売の方式の導入
④役務の新たな提供の方式の導入
⑤事業転換による新分野への進出
⑥上記によらず、その他の新たな事業活動による販路拡大や新市場開拓、生産性向上等、事業の活性化につながる取組等。
(3)次の要件のいずれかに該当すること
①新事業展開等要件
上記(2)の①、②、⑤のいずれかの内容を伴う事業計画であること
事務局が定める期間において従業員数を1名以上増加させる計画であること
②生産性向上要件
承継者が2017年4月1日以降から交付申請日までの間に本補助事業において申請を行う事業と同一の内容で「先端設備等導入計画」「経営革新計画」いずれかの認定を受けていること。
(4)補助対象事業が次のいずれにも合致しないこと
①公序良俗に反する事業
②公的な資金の使途として社会通念上、不適切であると判断される事業
③国及び地方自治体の他の補助金、助成金を活用する事業
※同一テーマ・内容で他の補助金等と重複して補助を受けられないので注意!
5、補助事業期間
交付決定日から2021年12月31日
※事前着手の承認申請が認められると2021年5月24日以降に着手可能(採択を約束するものではない)
採択から補助事業終了までの期間が非常に短く、またその間に従業員も雇用するなど厳しい条件です。
6、補助対象経費
人件費、店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、委託費、廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費、移転・移設費用
※使用目的が補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費であることや補助事業期間内に契約・発注・支払いを行った経費であることが必要
7、補助上限額、補助率
8、事業の流れ
9、申請方法
経済産業省が運営する補助金の電子申請システム「jGrants」を利用する。利用にあたって「gBizIDプライム」アカウントが必要となる。(※発行には2~3週間必要のため注意)また、添付ファイルの形式はPDFで統一すること
10、申請受付期間
2021年6月11日~7月12日18:00
11、必要書類
(非常に類型が多岐にわたるため同一法人内で代表者が交代した場合のみ挙げます。)
(承継者)
①認定経営革新等支援機関による確認書
②法人代表者の住民票
③履歴事項全部証明書
④税務署受付印のある直近の確定申告書
⑤直近の確定申告の基となる決算書
(被承継者)
①法人代表者の住民票
②履歴事項全部証明書
③税務署受付印のある直近の確定申告書
④直近の確定申告の基となる決算書
12、加点について
(代表者交代の場合)
①債権者調整プロセスを経て、各プロセスの支援基準を満たした債権放棄等の抜本的な金融支援を含む事業再生計画を策定した場合、それを証する書類
②中小企業の会計に関する基本要領または中小企業の会計に関する指針の適用を受けていることが分かる書類
③経営力向上計画の認定を受けている場合は認定書及び申請書類、経営革新計画の承認書
④申請者の所在する市区町村及び近接する市区町村地域への売上規模、または申請者の所在する市区町村及び近接する市区町村以外の地域への売上規模がわかる資料
⑤地域おこし協力隊員の身分証明書
13、交付決定後、実績報告までに必要な書類
(代表者交代の場合)
・履歴事項全部証明書
(新事業展開等要件を選択した場合に必要な書類)
・補助事業期間内において雇い入れた補助対象事業に直接従事する従業員に係る労働条件通知書(1名分)を必ず提出すること
14、まとめ
以上、経営者交代型についてのみ解説してまいりましたが、このほかにも創業支援型やM&A型があり、さらに個人事業主、法人間での場合など事情によって用意する書類が変わってきます。非常に多様ですので、申請される場合は必要書類を十分ご確認ください。
<追記>
6月11日(金)より申請がスタートしました。Jグランツでの電子申請で、大変ボリュームがあります。ログイン時間がタイムアウトしないように適度に一時保存しながら進めていくとよいと思います。
また、できましたらものすごいボリュームなのでwordなどでいったん作成したものをコピー&ペーストするとよいかもしれません。
最初の画面にフォーム〇←1~12までの数字 が書いてあります。このフォームはおそらく交付申請類型番号と同じ数字かと思われます。(すみません。公募要領の記載では見つけられませんでした。おそらく同じ数字かと思います。)
また、認定経営革新等支援機関に確認書を発行してもらうためにこのJグランツで入力した内容を印刷もしくはPDFにするようにと記載があります。(事業計画書を独自のフォームで作って持参するのかと思ってました汗)